緊急事態宣言で始めた自転車通勤
2020 年 4 月 7 日、東京都を含む7都府県に緊急事態宣言がは発出されました。街から人が消え、店の棚からはマスクをはじめとした衛生用品が消えたのも、まだ記憶に新しいです。
在宅勤務主体で運動不足も懸念してましたが、他の人との距離や密閉空間を気にせず、どう過ごすかなど色々考えさせられた時期で、毎日の出勤もそのひとつでした。
勤務先までの距離は片道 10 km で自転車での移動圏内ということもあり、公共移動手段に頼らない手段として、クロスバイク購入を決意しました。
実際に今の自転車の状態や1年間続けた中で感じたこと交えながら解説します。
予算事情からロードバイクではなくクロスバイクを選択
自転車通勤を検討した車種は、クロスバイクとロードバイクです。電動自転車は予算の関係から、除外しました。
クロスバイク:
- ロードバイクのようなフレーム構造
- マウンテンバイクのような安定感のあるタイヤ幅
- カゴ、ライトや自転車スタンドを標準装備したモデルも販売されている
- 価格 3 万円 〜 8 万円くらい
ロードバイク:
- 前傾姿勢をとりやすいようなフレーム形状、ドロップハンドルが標準
- 摩擦抵抗を減らすためにタイヤが細く、乗り味が軽い
- 車体重量を極限まで軽くしている
- 価格 10 万円くらい〜
自転車初心者ということもあり、いきなりロードバイクを購入するということに抵抗はありました。ロードバイクは見た目もかっこよく物欲をくすぐるのですが、価格も高くなかなかお財布の口が開きませんでした。
色々と検討した結果、6万円のクロスバイクを購入しましたが、ロードバイクを買っておけば…、と思い返すこともあります。
一番の懸念だったクロスバイク片道 10 km は辛くない
最大の敵は片道10kmの往復を毎日続けられるのか、という点でした。結論から言ってしまえば、辛くなく、毎日続けることへの体力的な不安は2〜3日ほどでなくなりました。
輪行時間は10 km で、平均して1時間弱ほどです。私の場合環状道路を時速 15 〜 20 km ほどで輪行していますが、思いの外信号で止まりますので、実際に輪行しているのは、30 〜 40 分ほどです。
疲労度は、輪行するペースにもよりますが、体調に合わせて自分で調整すれば良いですし、信号待ちで休憩を挟みますので、輪行中ひどく疲労することはありません。走り終えても、15 〜 30 分ほどもすれば十分に回復しますので、普段の生活や仕事への影響はありませんでした。
と、良いことばかりのように感じますが、思い違っていたことや、改善が必要なこともあります。
クロスバイク片道 10 km を続けて感じていたこと
汗・背中べちゃべちゃ問題
スポーツバイクに乗っていると、有酸素運動を行うことになりますので、汗をかきます。割と大量にです。夏だと言わずがなです。
私はリュックを背負っていたのですが、蒸れてしまって秋や冬場でも汗で背中がベチャベチャになってしまいます。リュックは 1 ヶ月で断念しました。
肩・腕と手の親指の付け根が痛い問題
1ヶ月ほど自転車通勤を続けて感じた驚きひとつは、足よりも上半身が辛い、ことでした。タイヤの空気圧が高く硬いせいか、少しの段差でも車体が強く揺れます。不慣れなせいもあり緊張して上半身を固めていたことが大きな原因かもしれませんが、上半身にかかる負荷が高いことに気がつきました。
色々と調べた結果、ストレート形状のハンドルが原因だと分かりました。クロスバイクで 10 km を輪行している間の違和感として、ハンドルを掴む手の向き、がありました。
実際に構えてみると分かるのですが、真っ直ぐの棒を横に両手で持ち筋肉を適度に緊張させると、肩から首にかけての憎棒筋(棒が憎いとは…)に負荷がかかります。この緊張状態で1時間はなかなかキツいと気が付きました。
思っていたより節約にならない問題
自転車通勤を始める中での効果で期待の高いものとして、交通費のコスト削減が挙げられると思います。ですが、これは意外と効果が薄いです。私の場合、会社の中に自転車を置かせてもらったいたので(よかったのか…?)、駐輪場代はかからなかったのですが、そちらも加味しなくてなりません。
そして、天気です。私の住む東京都は1年で平均 106 日雨が降ります。1年の平均営業日は244日らしいので、3 〜 5 割ほどは天候が悪いです。雨でも輪行できる根性があれば良いですが、私は迷わず電車を選択します。余談ですが、雨の中での輪行は真夏でもとてつもなく寒いです。きちんとした装備がなければ、風邪ひきますよ。
日本は四季の豊かな国です。温度・環境の変化も大きく影響し、梅雨・花粉・台風・積雪など、輪行を断念せざるを得ない場合も少なくありません。
上記のことから、自転車通勤できる日は、実はそこまで多くないもの事実です。実際は、公共交通機関と半々くらいになり、初期コストの元を取るには、それなりの継続年数が必要だと思います。
また、基本的に運動なので汗をかきます。日々の着替えの準備、衛生用品などの消耗品なども意外な出費でした。
試行錯誤を繰り返し、辿り着いた通勤用クロスバイクの形…
背中ベチャベチャ問題は、「キャリア + パニアバッグ」で解決
自転車にキャリアを装着し、通勤用リュックをパニアバッグに変更しました。背中の蒸れの軽減もさることながら、肩への負荷の軽減にも繋がり、一石二鳥でした。片側に荷物(5〜8kg ほど)があるので、走りにくいのでは、と懸念もありましたが、輪行中はまったく気になりません。
ちなみに、真夏は何しても無駄なので、素直に着替えとボディーシートを持ち歩きましょう。
上半身が痛い問題は、「ハンドルをブルホーン化」で解決
人間の手は、ぶらんと下げた時に、各手のひらが自分を向きます。そのまま手を握ると、自分の肩のラインに棒を垂直に持つような形になります。そのまま腕を前に突き出すと、牢屋から出してくれポーズになりますが、その手の形が一番自然で肩への負担がかかりません。
形としては、ロードバイクのドロップハンドルのような形が理想だ、というところまでは分かりました。ですが、私の自転車は油圧式ディスクブレーキタイプのもので、ドロップハンドルへの交換は技術面・コスト面でも現実的ではなく断念しました。また、ロードバイクに乗り換えは本末転倒です。
ハンドルバーなども試しましたが、私の自転車の都合上、握る位置にブレーキが無くなってしまうので、安全上の理由からやめました。
色々試した結果、ブルホーン(カニホーン)化が一番しっくりきました。しかし、ブルホーン化の効果は、お値段以上・かかった手間以上でした。メリットとしては、大きく以下の2点が挙げられます:
- 上半身が痛くない・疲れない(これは圧倒的でした)
- 上り坂で力が入る
一般の道は舗装が不安定ですし、地味な上り坂など平坦な道はほぼないです。安定した姿勢で無理なく輪行できる姿勢になり、体(特に肩まわり)への負担もかなり軽減できました。
そして完成した私の FUJI Raiz Disc
最初の形からずいぶん変わりました。でも、死ぬほどかっこいいですね(うるさい)。ノーマルの形から試行錯誤を重ね1年間共に歩んできたので、ずいぶんと愛着も沸いています。
でも、それは予算や制約の中1年間継続し、さまざまなことを乗り越えてきたからこそのポジティブな結果と言え、真逆の結果に陥ることも容易に想像できます。
最初からロードバイクもアリ、です…。
今の自転車には私は 120 %満足しています。ですが、これから通勤用の自転車を購入検討する方へのアドバイスとなれば「つべこべ言わずロードバイクを買え」と言います。
そして、購入前に必ず1日位時間をかけての試乗をお勧めします。サイクルショップでの 5 〜 10 分の試乗では分からないことが多く、そしてその多くは長時間・長期間輪行してないと分からないと経験を通して知りました。
クロスバイク・ロードバイクの試乗ならレンタサイクルサービスの活用も手段の一つ
2021年7月28日に多摩川沿いの中野島駅に「スポーツバイク専門レンタサイクル RIDEAWAY(ライドアウェイ)」がオープンしました。当時の私にはもってこいの、スポーツバイクを丸一日レンタルできるサービスです。ラインアップもエントリーのクロスバイクから、中〜上級者も乗れるロードバイクまで用意されています。
RIDEAWAY では、1日借りられるので、往路・復路でどのくらいの距離を走れるかや、体力を確かめてみたり、また、いきなりロードバイクは怖いな…、と思ってる人が輪行の練習をしたりと、長時間自転車と対話することができます。
また、店舗から約50mの所には、多摩川サイクリングコースへの入り口があり、一般道を走るよりもはるかに安全に自転車に乗ることができます。
昨年知っておけば…(涙。
もし、私のように自転車初心者で日々輪行することを前提に自転車購入を検討されている方がいれば、まず1日という単位で自転車に乗ってみることを強くお勧めします。
後続する方への参考となれば幸いです。
スポーツバイク専門レンタサイクル「RIDEAWAY(ライドアウェイ)」
都内近郊を小旅行しよう。多摩川沿いの多摩川サイクリングロードをスポーツバイクで走ってリフレッシュできるスポーツバイク専門レンタサイクルサービスです。
RIDEAWAY
RIDEAWAY 中野島ホーム
〒214-0012 神奈川県川崎市多摩区中野島 6-11-1 エクラージュ101(Google マップ)
JR南武線 中野島駅から徒歩3分
営業時間:9:30 – 17:00(不定休)