ロゼットからスイバの生物多様性を探る
道脇では、春を待ち、冬を耐える多くのたくましいロゼットに出会えます。ロゼットとは、茎が極端に短くて葉が放射状に広がっている状態を表す植物用語です。
赤い葉のロゼットがたくましくも美しい
植物は移動できないので生まれた場所の環境に応じて時間とともに変化します。効率良く光合成するために葉を変化させているのでしょう。
地面にはり付けば冬でも地面の熱で葉温が上昇し、葉と葉が重ならないようにして効果的な光合成を促すのでしょう。葉を地面にはりつければ風で傷つきにくく、食害からも免れやすいでしょう。競争相手のいない冬に稼いで、春に周囲の植物が伸びる頃には昆虫に花を目立たせたり、風で種子を遠くに飛ばすために、茎を長く延ばして花を咲かせます。
スイバの色彩が目をひく
まだ冬景色の河川敷の土手に赤紫、黄、緑色のスイバの葉が日差しを浴びてとても綺麗でした。スイバの葉の赤は紅葉とは違い、枯れずに生きています。冬の紫外線対策でしょう。枯れているのではなく、赤い色素を出しています。どうしてこんなに派手に赤いのでしょうか。動物や昆虫対策より紫外線対策でしょうか。
スイバの生物多様性
雌雄異株の植物では、雌株には雌花が、雄株には雄花が咲きます。この植物画は前田美稲さんが7月に描かれたものです。冬にロゼットで生き、春から初夏にかけて茎を伸ばし花を咲かせます。
雌雄異株のメリットは自家受粉を減らせることです。つまり、近親交配を避けて遺伝的多様性を保つことで、様々な環境に対応する子孫を残す可能性が高くなります。花粉が別個体の花の雌しべに受粉するので遺伝的多様性を保ちながら子孫を残すことができます。
雌雄異株のデメリットは、雄雌同士が離れていると、受粉確率が低くなり子孫を残しにくいことです。スイバの花粉は風によって運ばれる風媒花です。雄花と雌花の構造が描かれており、その構造に受粉確率を高める仕組みがあるのでしょう。
早春のロゼットから植物の生き方を学ぶサイクリング体験
花ではないので普段はあまり気にかけないロゼットです。冬から早春の道脇では様々なロゼットたちに出会えます。その生態には驚くような生き残るヒントが仕込まれていて、教えられます。散歩途中、植物の生きる戦略に触れてみませんか。